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『ターミネーター』の世界が現実に:DARPAの人型ロボットAtlas

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Atlasは、全長6フィート2インチ、体重300ポンド。28個の油圧間接、ステレオカメラ、LIDARなどを搭載、起伏のある場所でも二足歩行可能だ。IMAGES:COURTESY OF DARPA

先週、米ボストンで一台のロボットが公開された。金属製の骨組みやアクチュエーターをむき出したままの無機質な、しかし非常に精巧につくられたヒューマノイドロボットだ。映画『ターミネーター』に登場するT-シリーズのように未来的で、強烈な存在感がある。ただし、このロボットのもち主はスカイネットでも、ワーナー・ブラザーズでもない。その正体は、米国防高等研究計画局(DARPA)が主催するロボット技術の競技会、「DARPAロボティクスチャレンジ(DRC)」に向けて公開したヒューマノイドロボット、Atlas(アトラス)だ。

Atlasは「身長」188cm、「体重」150kg。28個の油圧駆動間接をもち、起伏のある場所でも安定した二足歩行が可能だ。2本の手は、人間と同じように既存の工具を扱う能力をもつ。また、頭部に搭載されたステレオカメラとLIDAR(ライダー)によって、周囲の情報を取得できる。LIDARとは光によるリモートセンシング技術で、人工衛星や航空機による地形サーヴェイや「グーグルカー」等などで利用されている。Atlasの制御はオンボードコンピューターが行うが、本体の駆動電力は、ケーブルを通じて外部から供給される。

Atlasロボットの開発は、MIT発のヴェンチャー企業、ボストン・ダイナミクス社が行った。「革新的で、実際に役に立つロボットの開発」を目指す同社は、斬新なロボットを次々に実現し、世界を驚かし続けてきた。例えば、どんな場所でも歩行でき、押しても倒れない四足歩行ロボットBig Dog、脚型ロボットでは世界最速の時速46kmで走るCheeath、防護服を身にまとったリアルな二足歩行ロボットPETMAN、など、その成果はいずれも世界の注目を集めてきた。

Atlasは、DARPAがこの冬開催する災害対応ロボット技術の競技会、「DARPAロボティクスチャレンジ 2013(DRC)」の共通プラットフォームとして開発されたものだ。競技参加チームはAtlasの「人工知能」を開発し、実際にAtlasに動かして、与えられた課題を達成する優劣を競う。競技種目は、瓦礫の除去、クルマの運転、梯子の昇降、ヴァルヴの操作、工具を用いた壁の切断、消火ホースの接続など……実際の災害現場で必要な課題そのもので、参加チームにはAtlasの能力を最大限に引き出す、いままでにない先進的なソフトウェアの開発が求められる。

「DRCでは、非常に高度な課題を設定しています。このため、官民から幅広いチームを集めました。」DRCのプログラムマネジャー、ギル・プラットは言う。「短い開発スケジュールにもかかわらず、いままで各チームは予想以上の成果を上げてきました。今後の戦いが楽しみです」。

「DARPAロボティクスチャレンジ 2013」は今年12月下旬、フロリダ州のホームステッド=マイアミ・スピードウェイで開催される予定で、昨年から行われてきた予選を通過したカーネギーメロン大学、ドレクセル大学、NASAジェット推進研究所など、大学・研究機関・民間企業の6チームの出場が決まっている。上位チームはさらに、来年開催される「DARPA ロボティクスチャレンジ 2014」へ進むことになっている。なお、競技会は公開され、一般の観覧も可能だ。

ヒューマノイドロボットの能力を最大限に引出し、災害現場という現実の極限環境で、本当に使えるロボット技術を開発する。ロボットは「夢と憧れのテクノロジー」から、「現実の問題を解決する技術」のフェーズにすでに入っている。その「アイコン」としてAtlasが演じるのは、『ターミネーター』のTシリーズ・ロボットより、はるかにチャレンジングで、やりがいのある役目だ。

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